昨年の夏、普段交流させてもらっている超一流のマイラーさんからとんでもない情報が入ってきました。モザンビーク発券のワンワールド世界一周航空券それもファーストクラスの5大陸運賃が40万円代で販売されているぞ!と。初めはモザンビークが一体アフリカのどこにあるのかすら知らなかったわけですが、史上最安値の驚くべき価格を前にこれは何が何でも発券してしまうしかないと思い勢い余って発券してしまいました(笑)
世界一周(RTW)航空券とは
ワンワールド、スターアライアンス、スカイチームなどの各航空アライアンスが販売する航空券。原則として太平洋と大西洋をそれぞれ1回ずつ横断して出発国に戻ってくるチケット。RTWとはRound The Worldのこと。最大16区間までフライトできる。航空券のルールや値段はアライアンスごとに異なり、例えばスターアライアンスの場合は飛行距離に応じて、ワンワールドの場合は訪れる大陸数に応じて料金が変動する。マイラーの間では、規定の大陸数ならどれだけ飛行距離を伸ばしても料金が変わらないワンワールドの人気が高い。
搭乗する航空会社・機材・シート・稼ぎ出すマイル数・訪れる都市などなど様々な要素を考慮してルーティングを行い渾身の一枚を作り上げる。そのためRTW券の可能性は無限大であり美しいルーティングができた時の喜びは計り知れないという。RTWの発券に命をかける猛者もいるほど(笑)
今回のルーティング
一般的にRTWのルーティングは何ヶ月も温めて行うものなのでしょうが、今回はまたとない激安運賃ですからいつ改悪されてもおかしくないとのアドバイスを受け、とにかく仮のルート・日程でも発券してしまうことを最優先に考えました。
一度発券してしまえば、第一区間を動かさないかぎり運賃の差額請求は発生せず日付変更は無料、ルート変更も125ドルの手数料で可能となります。ただし、逆に言えば第一区間は絶対に動かせないということ。第一区間だけは絶対に乗れる(であろう)日を選んで慎重に決めました。
そうやって大急ぎで作ったのがこちらのルーティング。我ながら短時間でよくここまでルーティングできたものだと思います。
■航空券価格:約50万代(TAX込み)
■総飛行距離:63,629マイル
■獲得FOP:103,899
■獲得マイル:152,766マイル ※上級会員ボーナスマイルを含む
ルーティングのポイント
(1)アフリカ=欧州/中東間はカタール航空
マプト=×ドーハ
まず、出発地のマプト(モザンビーク)から出発するワンワールドのフライトは、ドーハ行きのカタール航空便のみ。したがって必然的にQRが第一区間となるわけですが、ファーストクラスの設定がないのでビジネスクラス利用となります。ただ上記のQRリバースヘリンボーン型のシートは未体験なので是非乗ってみたいです。
(2)欧州/中東ゾーンはひたすらカタール航空で距離稼ぎ
ドーハ=○アムステルダム=×ドーハ=○パリ
欧州と中東はひとつのゾーンを形成しますので、このエリア全体で4区間のフライトができます。無駄にBAの欧州内フライトを入れるよりは、欧州=中東をひたすら往復するほうが距離稼ぎができるので、もちろん後者のルーティングを選択。その際、税金が法外に高いヒースローとBAは回避したので、必然的にカタール航空ばかりのフライトになりました。カタール航空はファースト設定があるのはロンドン線とパリ線だけですが、ロンドン線のFはRTWには非開放です。そのためファーストクラスはわずか1セクターに…
アムステルダムとパリは観光のために降機します。
(3)欧州=アジアはもちろん俺たちのJAL
パリ=○羽田
先に述べたようにロンドンは税金が法外に高いので、欧州の出発地点は必然的にパリ1択です。パリ発のファーストクラスの機内食はミシュラン2つ星にも認定されている佐藤シェフのお店「パッサージュ 53」のメニューが提供されています。ずっと昔から興味を持っていたお店なのでとても楽しみ!
(4)アジア内は全区間JAL
成田=○ジャカルタ=○成田=○デリー=○成田
アジア内はJALを利用!最近は上級会員になるために半分は自社便に乗らないといけないという制約があるので、CXやMHなどの他社には浮気せずひたすら俺たちのJALを利用します。ジャカルタとデリーを選んだのは単純にFの設定があること、または飛行距離が長いからというだけの理由です。インドはちょっとゆっくり旅行してみるつもりです。
(5)アジア=北米ももちろんJAL
成田=×ニューヨーク
しつこいくらいJALに乗りまくります(笑)JFK線はANAが羽田から飛ばしている路線なので、対象者限定のダブルマイルキャンペーンとかがあるといいな、という目論見です。しかしJALもJFK線を羽田に持ってくるという噂もありまして、まだどうなるかは分かりません。
(6)北米=南米はアメリカン航空
ニューヨーク=○サンパウロ=×ニューヨーク
南米へはアメリカン航空のB777-300ERを利用。米系のファーストにマイルを使うのは勿体無いと思って今まで敬遠しておりましたが、折角の機会ですので初体験のNew Americanの77Wを堪能したいと思います。ここもJLとのコードシェア運行なので自社便FOP半分以上のノルマ達成のため往路はJLコードに変更できました。しかし復路はもしかしたらJLコードでは取れないかもしれません。
ブラジルは大好きな国なのでリオのビーチでゆっくりしたいと思います。
(7)北米内はAAのTranscontinental便ファーストクラス利用
ニューヨーク=×サンフランシスコ
アメリカンのNY発米国大陸横断便はすべてA320型機材になっています。欧州内のフライトと違ってFCクラスはまともなシートが導入されています。上記はファーストクラスのシートですが、AAやCXの国際線ビジネスで使われているシラスがファーストクラスとして使われているようです。ソロシートでフルフラットなので快適そうです!
(8)大西洋横断、欧州=アフリカはBA便
サンフランシスコ=×ロンドン=ケープタウン
最後は大西洋を渡って出発大陸であるアフリカ大陸へ戻ります。カタール航空でドーハ経由で帰ることも出来たのですが、QRだとCにダウングレードとなるので、ここだけはやむを得ずロンドンのバカ高い税金を払ってヒースロー経由としました。ただし、SFO=LHR=CPTはすべてBA運行ですが、コードシェアのAA便名で予約しています。こうすることで約3万円の節税になりました(笑)
この航空券の最終目的地はケープタウン。希望峰をドライブして南アフリカの美しい自然を堪能したいと思います。アフリカ大陸出発のRTW旅程は帰着地がアフリカ大陸内ならどこでもいいという大変寛容なルールなので、あえて出発国であるモザンビークに戻る必要はありませんでした。
尚、これは発券当初の暫定旅程ですので、今後125ドルの手数料を払ってルート変更を行う予定です。ジャカルタ線のFクラス廃止の噂もあるのでそうなれば結構影響があるな…
この航空券のお得度
以下、この航空券で獲得できるマイルやFOPなどのお得度を計算してみます。
○15万マイル(30万円)
まずはフライトで獲得できるマイル数。最低で見積もっても15万マイルは固いです。これに対象のお客様限定キャンペーンなどを活用すればさらに数万マイルの上乗せは可能。1マイル2円の価値と見積もっても30万円の価値にはなる計算です。しかし実際のところは15万マイルもあれば各社ファースト乗り回しの旅ができるでしょう。
○10万FOP(5万円)
この航空券1枚で10万FOP以上が確保できJMBダイヤモンドステータス達成も可能です。ざっと計算したところFOP単価は5.18円でした。ファーストを乗り回してFOP単価5.18円は破格でしょう!エメラルドステータスがあれば世界中のワンワールドファーストクラスラウンジにアクセスできますし、羽田からエコで出発する際もFラウンジでシャンパンが楽しめます。ただし、個人的にはJGPステータスがあれば充分だと思っているので、DIAまでは持っていく予定はありません。8万FOP以降のフライトは翌年に持ち越してJGPを2年維持する戦略にしたいと思います(笑)
○インド、アフリカ、南米旅行への航空券代金(30万円)
そして旅行に使う航空券そもそもの価値。特にインド、アフリカ、南米は安い航空券が見つけにくい地域です。安く見積もっても各10万円、合計30万円相当の価値と言えるでしょう。でもそれはエコノミーの航空券代金としての価値。それをファーストで行けるとなれば全く異次元の話です。
発券までの道すじ
RTWの発券にあたっては、発券キャリアをどこにするかという大きな問題があります。まずすべてをワンワールドのサイトで行うこともできるのですが、自分の場合は旅程が複雑すぎて発券できませんでした。その他、友人からの情報をもとに、今回はJLで発券するのが一番現実的な感じでした。
①オンラインツール⇒自分の旅程が複雑すぎてルーティングチェックで弾かれる
②QR東京支社⇒東京での複数回のストップオーバーを認めてくれない
③BA東京支社⇒そもそもBAプレートは税金が高い、さらに発券を断られた
④JL東京⇒料金を提示してきた
というわけで発券可否は不明でしたが、深夜のうちにJLのロサンゼルスデスクで旅程だけ作っておいて貰い、翌日本時間の朝8時の営業開始とともにJLの東京に電話しまして料金計算をお願いしました。。
以前は第1区間がJL便でないと発券してくれなかった、かつ海外発券の場合には出発国と発券国(今回の場合は日本)の運賃を比較して高い方に料金を合わせられたのですが、最近ワンワールドの規定が改正され①自社便が第1区間でなくても発券可能、かつ②出発国の運賃をそのまま発券国の為替に換算して発券可能となったようです。
ワンワールド世界一周運賃規約はこちら。
この点をJLが認識しているか不安だったのですが、新ルールはしっかりと周知されていたようで、何も文句を言われずにスムーズに料金計算を受け入れてくれました。正直ハードな交渉を覚悟していたのですが、その日の午後には運賃計算が終わっていて、拍子抜けするほど簡単に処理が終わりました。
さて予約作業は終了したのですが、爆安と言っても50万円を超える大きな買い物。さすがに即決で発券はできずしばらく悩もうかと思いました。しかし友人から「いつ改悪されてもおかしくないから今日中に発券すべきだ」と悪魔の囁きがあり、渋々?発券してしまうという決断をしたわけです。
発券方法
予約センターで電話発券することもできましたが、電話で発券すると発券手数料5,400円が必要になります。この手数料を回避するちょっとした小技があるので、今回は有楽町のJALプラザに出向いて発券することにしました。
有楽町の店頭でこちらのJAL旅行券を支払いに充当します。
JAL旅行券で支払を行う場合は発券手数料が免除となります。今回は50万円代の決済でしたが、1,000円だけ旅行券を充当した場合でも発券手数料は免除されるとのことでした。残りは事前に電話してオーソを貰っておいたアメックスカードで決済いたしました。
こうして発券作業は完了。大きな買い物でしたがお得な航空券でしたので不思議と清水の舞台から飛び降りるような感覚はありませんでした。
この運賃は一瞬で価格改定されました
さて、私が発券したのがちょうど7/31。翌日、別の友人から衝撃的な情報が入ってきました。何とJALが提示してきた料金が2倍以上高いとのこと!何かの間違いではないかと思いましたが、間違いなく8/1付で2倍以上の料金になったようです。
マイラーとエアラインは改悪のイタチごっこを繰り返してきた歴史があります。特に最近は海外掲示板やSNSの波及に伴ってお得な情報が一瞬にして世界中を駆け巡りスイートスポットはことごとく改悪されていきます。今回のモザンビーク祭りもまさにマイラーとエアラインが歩んできた歴史を象徴するかのような出来事でした。マイラーとエアラインが静かに共存していけるような世の中になるといいですね。
後日談ですが、その友人は7/31までに予約していたため旧料金で発券ができたのだそうです。JALさんの対応に感謝ですね。
Bottom Line
ココ数年は特典旅行で安くフライトできているため、正直欧州往復20万円のビジネスクラスのセールチケットですらあまり美味しいと思わなくなりました。しかし今回のチケットはアワードで乗っても同じくらいの出費になるかな、というラインだったので発券に至りました。お陰さまで今年はマイルの消費量をかなり抑えられそうなのですが、問題はマイルの有効期限との戦いです。結局マイルの有効期限に追われながらの生活は当面続きそうです(笑)
以上、昨年大騒ぎとなったモザンビーク祭りをお伝えしました。
最後に情報提供をしてくださった方々、旅程の相談に乗っていただいた関係者の皆様、どうもありがとうございました。
※尚、この航空券は発券後にルーティングを変更しています。詳細は以下を御覧ください。
3月からジャカルタ線のF設定機材がバンコク線に変更になるようですが、
既に利用されたのでしょうか??
◆dadongさん
このチケットはまだ利用を開始しておりませんが、ジャカルタ線がダウングレードされたので無料でルートチェンジをしてもらいました。
うわ!!これは凄いですね・・・50万で正解一周Fクラスでしかもマイルも貰えるなら絶対に欲しいですね。
知りませんでした!が、今はもう高いのですね~。
私はマイルは頑張って貯めたらファーストクラスで使う事こそメリット有と思っております。エコ席も勿論利用してます!たまにFクラスで気分転換です。
そうそうタイ航空の日記でお教え下さいましたメニュー全て完食トライしました!
有難うございました!
ブログとっても参考になり勉強になります!有意義なで貴重情報ブログ本当に楽しみです(*^_^*)
有難うございました
◆茜さん
日本発券でエコノミーでも燃油サーチャージの動向によってはこれくらいの値段になってしまいますから、ファーストでこの料金ならポジショニングのコストを考慮してもお得だと思いました。マイルがたくさん貯まるのもお得です。
TGのフライト、お疲れ様でした。あそこのラウンジはいつ行っても素晴らしいですよね!